マイナスワンのすすめ
マイナスワンとは、ジャズ用のカラオケのことです。
由来は、「カラオケ」=「メインのパートが足りない(マイナス)」=「マイナス1」ということです。
マイナスワンは、昔からジャズの上達には必須のアイテムと言われていますが、一方で、何故かあまり語られる機会は多くない気がします。 そこで、「マイナスワンをお勧めする理由」を思いつくままに挙げてみました。
1.マイナスワンの利点

(1)練習が楽しくなる
(2)他人のペースに合わせる練習になる
(3)実戦のシミュレーションとして使える
まず、(1)「練習が楽しくなる」について。
例えば、歌を歌う時は、伴奏が何も無い状態(アカペラ)で歌うよりは、カラオケをバックに歌った方が楽しいですよね。 楽器の場合も同じで、特にアドリブの練習は、バンド演奏のカラオケをバックにした方がきっと楽しいと思います。
上達する上で、この「楽しさ」は最も重要です。
『練習が楽しい→ジャズが上手くなる→さらに練習が楽しくなる……』
といった好循環に入ることができれば、上達のスピードは飛躍的に上がります。 その大きな助けとなる「練習が楽しくなるツール」が、マイナスワンなのです。
次に、(2)「他人のペースに合わせる練習になる」について。
一人で練習していると、ついつい自分の好きなテンポに偏ったり、間違えたらすぐやり直したり…という「マイペースな練習」になりがちですよね。
しかし、そのままではいつまでたっても「他人と一緒に演奏する」能力は身に付きません。
他人と一緒に演奏するということは、『相手のペースに合わせる』ことを意味します。
なぜなら、相手は、演奏中にあなたが間違えてもやり直してはくれないですし、苦手な箇所に来た時にテンポを落としてくれるわけでもないからです。
つまり、あなたの方から相手にペースを合わせる必要があるわけです。
そして、この「自分以外のペースに合わせる練習」をする上で有効なのが、マイナスワンというわけです。
最後、(3)「実戦のシミュレーションとして使える」について。
例えば英会話の練習の場合、単語や例文をいくら覚えたところで、
実際に会話の練習をしない限りは、上達するのは難しいですよね。
実は、ジャズでもこれと同じことが言えます。つまり、いくらスケールを覚えたりフレーズの練習をしたところで、
「実戦」の場面で自由にアドリブできるわけではないということです。
ただ、いつでも「実戦」を経験できるわけではありません。
そこでお勧めなのが、マイナスワンです。
『マイナスワンを実戦のシミュレーションとして使用する』ということです。
全て実戦で身に着けようとするのではなく、適宜、シミュレーションとしてマイナスワンを利用するのが、
より効率の良い練習法であると言えます。
2.ジャムセッションとマイナスワンの関係
ジャズの上達に実戦経験が不可欠であることは先ほど説明致しましたが、この実戦経験を積む場として、よくジャムセッションが利用されます。
実際のライブを「本番」とするなら、ジャムセッションは、「他の演奏者」と、「ジャズのお店」で、さらに「人前で演奏する」という意味で、
『最も本番に近い状況』であると言えます。
ただし、ジャムセッションは長所だけではありません。次のような短所もあります。
・「参加費」「飲食費」「交通費」といった『金銭的コスト』がかかる
・「移動時間」や「待ち時間」などの『時間的コスト』もかかる
・いつでも自分の好きな時間に演奏できるわけではない
・混んでいる時はほとんど出番が回ってこない
・全員で選曲するため、必ずしも好きな曲ができるわけではない
そこで、お勧めするのが、マイナスワンとの併用です。
マイナスワンを使えば、ジャムセッションの短所を補えます。
もし、あなたがまだ「マイナスワンに合わせて、スムーズにアドリブができる」というレベルに達していないのであれば、
今の実力のままジャムセッションに行ったとしても、納得いく演奏はできないでしょう。
ですので、『まずはマイナスワンで十分に練習し、自信がついたら「実力試し」としてジャムセッションに行く』
というステップを踏むことが、最も効率的な練習法といえます。
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